ハンガー事件
2020年09月14日
こんにちは、マルキヨ製菓広報担当の仲宗根です。今日も最高気温31度の沖縄、まだまだ暑い日々が続いています。北海道札幌市は最高気温18度・最低気温14度という事で、「沖縄なら冬の気温だ」と驚きました。
同じ日本でもこんなに気温差があるんですね。暑がりの私はかつて、札幌で生活していた事があります。北海道の方に「なんでわざわざ沖縄から来たの?」と聞かれた時、「暑いのが苦手だから」と正直に言っても、冗談だと思われていたのが懐かしいです。
今日も涼しいクーラーの下で、このブログの原稿を書いていますよ。
SUNちゃんうちなークイズ
沖縄のテレビ局で3チャンネルと言えば、RBC(琉球放送)です。このRBCの公式マスコットに「SUNチャン」というキャラクターがいまして、CMでよく沖縄にまつわるクイズを一般の方に出題しています。
例えば「石敢當(いしがんとう)の役割は?」などの問題が出題され、それを街ゆく人たちに答えてもらうわけです。ちなみに石敢當は魔除けの役割があり、マジムン(悪いもの)の通り道になる建物の入り口や丁字路に置かれているものです。
個人的に平均より正解している自信はありますが、たまにわからない問題が出て勉強になります。
昨日、CMで見たのが「執心鐘入(しゅうしんかねいり)」など、冊封使を歓迎するために創られた歌舞劇を何という?」でした。沖縄の人なら分かって欲しい問題。答はもちろん「組踊(くみおどり)」です。
実は過去問題にも「9月3日は、琉球伝統芸能の何の日?」という問題がありまして、こちらも答は同じです。「9(く)3(み)」の語呂合わせからきています。今月は9月ですから、沖縄の人はしっかり覚えておきましょう。
組踊
今から10年前の2010年、組踊はユネスコ無形文化遺産リストに登録されていますが、ご存じでしょうか? よく知られているのが、その創始者である玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)という人物で、名前は聞いた事あるという人も多いかと思います。
もともと組踊は一般大衆向けの芸能ではなく、中国からやってくる冊封使をもてなすためのものでした。時は今から約300年前の1718年、玉城朝薫は冊封使をもてなすための役職である踊奉行に任命されます。
翌年の1719年、冊封使達を前に自ら創作した組踊「二童敵討(にどうてきうち)」と「執心鐘入(しゅうしんかねいり)」を披露します。1719年9月9日、この日が歴史上初めて、組踊が上演された日になります。
ところがこの初上演、実はあるトラブルのために公演延期となっていたのです。そのトラブルというのが「ハンガー事件」。「ハンガー」と言っても「えもんかけ」の事ではありません。
今回はこの「ハンガー事件」について、少しお話ししてみましょう。
ハンガー事件
中国の国王が、琉球の新しい国王を任命するために琉球へ派遣した集団が冊封使。尚敬王時代の1719年、この年に訪れた冊封使の使節団は通常よりも多い人数でした。通例なら400人前後(それでも大規模)ですが、この時は649人。
琉球側も「いつもよりかなり多いぞ!」と、あせったわけです。というのも、彼らは半年近くも琉球に滞在します。滞在期間中の食事や接待なども全て琉球側が用意するわけですから、人数が大幅に増えるとその費用も莫大なものになるのです。
そして1番琉球を苦しめたのが、とある暗黙の了解。冊封使が琉球に訪れた際、彼らが持ち込んだ貿易品を琉球側が全て買い取るという慣習がありました。明文化された約束事ではなく、琉球側からすれば1つのサービス業務です。
いつもよりかなり多い人数がやってきて、みながそれぞれの品を手にして、これを「買い取れ!」と琉球側に要求するわけです。実は中国、当時の清政府から任命された方達は給料が出ていますが、航海のため雇われた船乗りや雑務係達は無給。
無給の連中はここぞとばかり中国からたくさんの品物を持ち寄り、それを高値で売ろうとするわけです。これらの品々は琉球側がまとめて買い取るのが昔からの習わしであり、これを「評価(ハンガー)」と言いました。
本来、中国側から買い取ってもらう品物の量は決まっているのですが、そんな事はお構いなしの中国人。なんと規定の5~10倍の量の品物を売ろうとしたそうです。さすがの琉球側も、こんなにたくさんの物は買い取れないと難色を示します。
後に「ハンガー事件」と呼ばれる1719年のハンガーは、両方の交渉がまとまらず難航。「我々の品物を買い取らなければ中国に帰らない」と駄々をこね、自ら船を燃やそうとする者まで出る始末。おかげで、滞在期間も大幅に延びることになります。
本来、中秋之宴(旧暦8月15日)に披露する予定だった組踊は、重陽之宴(旧暦9月9日)に延期される事に。龍潭(りゅうたん)でハーリーを披露した後、首里城北殿にて歴史上初めて組踊が上演されました。
約300年後にユネスコ無形文化遺産に登録される組踊。その初演の裏では、琉球と中国とがバチバチに火花を散らしていたというわけです。
これらの様子は、中国側の官僚である徐葆光(じょ・ほうこう)が記録に残しています。ちなみに彼は、こちらのブログで過去にも登場しています。
⇒【琉球八景 後編(解決編)】
このトラブルをまとめたのが蔡温(さいおん)。彼もまた、このブログでは何度か登場しています。
⇒【蔡温 ~ 反骨精神でのし上がった男 ~】
ただ、この時の冊封使達は通常より人数が多いだけで無く、ハンガー事件のせいで3ヶ月も長く滞在しています。その滞在費用は琉球側がまかなうため、琉球王府はかなりの支出を強いられました。
そのため、王府は役人の人員整理を行います。失業した「元役人」は、高利貸しを始めるなどしたため、そのせいでまた苦しむ人が出てくる…。ハンガー事件は、その後も琉球に大きな痛手を残す事になったのです。
もともと決められた量の品で取引する規定を破り、買わなきゃ中国に帰らないと駄々をこね、600人以上が3ヶ月も滞在期間を延ばし、琉球を逼迫させるという、迷惑このうえなし。それが「ハンガー事件」でした。
ちなみに玉城朝薫の創作した組踊「執心鐘入」や「二童敵討」などの5作品は「朝薫の五番」と呼ばれています。伝統芸能として今も演じ続けられる琉球オペラとも言われる組踊。その初演の背景には、琉球国の国家財政を揺るがす大きなトラブルが存在したのです。
今週末は彼岸入り
今週の土曜日は秋彼岸入りという事で、マルキヨ製菓は多忙な1週間となっています。
県内各スーパーでは、そろそろお彼岸のコーナーが出来ると思います。是非、マルキヨ製菓のお菓子も手に取って下さいね。
彼岸の後はシバサシ、さらには十五夜と、まだまだ息つく暇もありませんが、暑さに負けず、コロナに負けず、今日もマルキヨ製菓はお菓子を作り続けます!
今回はこの辺で。
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