七色元結 ~後編~
2024年03月29日
こんにちは、マルキヨ製菓広報担当の仲宗根です。今日の明け方は雷雨でしたね。久しぶりに雷が落ちる音を聞きました。雨もザーザー大降りで凄かったですが、お昼になり天気は落ち着いてきました。
冷たい風が吹いて、やや肌寒く感じますね。屋内にいても、窓から入ってくる風で寒さを感じます。3月もそろそろ終わりですが、例年よりは気温が低いと感じる毎日です。
さて、今回は3月最後のブログの更新です。今年度もブログを読んでくれた方に感謝します。今回のブログ内容は前回紹介した「七色元結」というお話の続きとなります。
これまでのあらすじ
那覇と豊見城(とみぐすく)の間を流れる国場川は時折氾濫し、そこにかかっている真玉橋は倒壊を繰り返していました。そこで、橋周辺に住む人達は「人柱を立てよう」という事になり、その人選をユタに任せました。
ユタとはある種の霊能力をもった人で、神やご先祖様の言葉を聞くことが出来ると言われています。ちなみに、現代沖縄にもユタはいますよ。
ユタは「子年生まれで七色の元結をした女性を、人柱として埋めよ」と言う神のお告げを伝えます。ところがその条件に合致したのは、神のお告げを伝えた本人でした。結果として、そのユタが人柱に選ばれてしまうのです。
ユタには夫と可愛い一人娘がいました。埋められる直前、娘に「あなたは美しいが、幸せになるためには人より先に話してはいけません」という言葉を遺しました。
ユタの夫と娘はショックのあまり、真玉橋から遠く離れた場所「山原(ヤンバル)」へ引っ越します。そして、美しい娘は母の言いつけを守り、母が人柱になって以降は口を閉ざし続けました。
⇒【七色元結 ~前編~】
母の遺言
山原に移って数年が経ち、娘は18歳になりました。より美しい姿へと成長していましたが、あの一件以来まったく言葉をしゃべる事はありませんでした。
その頃、ユタを人柱にした首里の役人は、ユタの家族が山原に引っ越したという情報を耳にしました。そこで、その役人は自分の息子に、「遺された家族には悪い事をした。お前はその家族の所へ出向き、わびを入れてきなさい」と言いました。
役人の息子はユタの家族に会うべく、国頭(くにがみ)という所まで来ました。ここまで来たはいいのですが、目的の人物がどこに住んでいるのかわかりません。すると、美しい女性が海辺で一人、物静かに遊んでいる様子が目に入りました。
男はその美しい女性に、「この方達の家に行きたいのですが」と尋ねます。娘はしゃべることなく、とある方向を指さしました。土地に不慣れな男は「出来れば、その家まで案内して欲しい」と頼みます。
娘は無言でうなずき、先導してその家の方向へと向かいました。目的地に到着するまで、娘は一言もしゃべりません。家に着き、男が中の人に声をかけると、ユタの夫が出てきました。そして、その夫は案内した娘の父親でもあったのです。
役人の息子は自己紹介をして、誠心誠意、娘とその父親に謝ります。謝罪したあと、「何故、娘さんはしゃべらないのでしょう?」と質問しました。
「他の人よりも先に口を開いてはいけない。それは災いの元になるから」という、母の死の直前の遺言によるものだろうと、父親は説明しました。
母の遺言を守っている、あるいは母を失ったショック、もしくはその両方。母の死に直面して以降、娘はこの年になるまで、一切口を開いていないというのです。
その話を聞いた男は突然、「その娘さんと結婚させてもらえないか」と言い出しました。実はこの男の父(首里の役人)からは「もし、ユタの娘が不遇の状況ならば、嫁にもらってこい」とも言われていたのです。
当時の首里の役人といえば、現代の国家公務員と同じで、かなりの高給取りです。結婚が成立すれば、娘は玉の輿に乗ることになります。
とはいえ、その男は母親を人柱にした役人の息子。そんな男と結婚して、幸せになれるものだろうか。ましてや言葉を発しない娘は、この田舎から都会の首里へ移ったとして、うまくやっていけるのだろうか、色々と問題点が浮上してきます。
そこから娘をはさんで、父親と役人の息子は話し合いを進めました。
蝶になった母
父親は娘に「この人の嫁に行きたいなら、それを認める」と伝えました。どうやら娘は、この結婚話に乗り気なようです。ただ、父親には1つ心配事があります。いずれ首里の役人なる男の嫁ですから、一生無口というわけにもいかないでしょう。
父親は「嫁になるなら、口を開いて自分の言葉を発しないと駄目だ」と言うと、それに対し「はい。そのように致します」と、娘は声を出して即答したのです。これには父親もびっくり。
実はこのタイミングで娘が口を開いたのには訳があるのですが、それも娘の口から語られました。実は数日前、蝶に姿を変えた母親が目の前に現れたというのです。
その蝶(母親)は「近いうちに、ある男があなたを訪れ、求婚する。それを受けなさい。そしてその先は自由にしゃべりなさい」と伝え、実際に男が現れた・・・と言うのです。
娘はその母の言いつけ通り、その男と結婚しました。男は娘を連れて首里に戻ると、非常に謙虚な嫁をもらったと評判になり、かなり出世したそうです。そして夫婦仲良く、ずっと幸せに暮らしていったのです。
人柱になったユタは死してなお、娘を幸せに導くため、蝶に姿を変えて現れたのです。あの時「しゃべるな」と伝えた事、そして「もうしゃべってよい」と伝えた事は、結果として娘の幸せにつながったというわけです。
いくつかのバージョンがある
ユタであった母親は確かに悲劇的な死を迎えましたが、娘が幸せになるために自らの言葉を伝えました。最後は娘がハッピーエンドになるお話でしたが、実はこのストーリー、最後まで悲劇になるパターンもあります。
そう、この「七色元結」にはいくつかのバージョンがあるのです。例えば「ユタは神の言葉を紡ぐため愛を誓った男と結婚できず、自ら人柱になった。娘もずっと無口のままだった」というパターンもあります。
あるいは「ユタは騙されて人柱になってしまった」なんてパターンもあります。個人的には最後はハッピーエンドがいいので、今回はそのバージョンを紹介しました。
さて、今回のブログで3月更新は終了。次回は新年度になりますね。来週は「シーミー」関連でかなり忙しくしていると思います。
新年度もマルキヨ製菓のお菓子たちをよろしくお願いします。
今年度はこの辺で。
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