羽地朝秀と中山世鑑
2020年10月5日
こんにちは、マルキヨ製菓広報担当の仲宗根です。朝から思わず「暑い!」とつぶやくほど暑い! 朝晩は涼しくなったなと思ってた最近ですが、午前8時過ぎは普通に暑い。今日は最高気温31度で、すでに午前からクーラーのお世話になっています。
「暑さ寒さも彼岸まで」と思っていましたが、まだまだ30度を超える真夏日の沖縄。水分補給を意識して頑張りたいと思います。
十五夜の日に撮った月の写真。すごく綺麗でしたね。十五夜の夜、美しい月を眺めましたか?
さて、皆さんは琉球最初の歴史書をご存じでしょうか? 『中山世鑑』(ちゅうざんせいかん)と言うと、「聞いた事はある」という人も多いのではないでしょうか。今回は、この『中山世鑑』と、その編纂にあたった羽地朝秀について簡単にお話ししてみましょう。
国の重要文化財
今年の3月になりますが
『中山世鑑』
『蔡鐸本中山世譜(さいたくぼんちゅうざんせいふ)』
『蔡温本中山世譜(さいおんぼんちゅうざんせいふ)』
の3冊を、国の重要文化財に指定するよう働きかけ、もうすぐ正式に認定される予定です。
特に書跡・典籍の部においての指定は県内3件目となり、沖縄県としては1973年以来47年ぶりとなります。
いずれも戦後の1953年にアメリカから琉球政府に返還されたもので、現在は那覇市にある県立博物館に保管され、琉球史を研究するうえで極めて価値が高いとされ、それが評価された形になります。
書かれた年代
『中山世鑑』が羽地朝秀(はねじちょうしゅう)によって編纂されたのが、今から370年前の1650年。当時の国王は第2尚氏代10代国王尚質王の時代です。
時代背景としては、1609年に薩摩の琉球侵攻があった後で、薩摩側から厳しいルールを突きつけられた苦しい時代です。
『蔡鐸本中山世譜』は、蔡鐸(さいたく)が1697から1701年にかけて「中山世鑑」を漢訳したもので、さらに増補もしました。「中山世鑑」で欠落していた尚真王代などの記述を書き加えたり、琉球・薩摩関係の内容も記されています。
蔡鐸の息子が蔡温(さいおん)で、父の事業を受け継いで1724から1725年にかけてさらに改編を加えたものが『蔡温本中山世譜』です。
蔡温に関しては本ブログでも取り上げていますので、是非、チェックしてみて下さい。
⇒【蔡温 ~ 反骨精神でのし上がった男 ~(前編)】
⇒【蔡温 ~ 反骨精神でのし上がった男 ~(後編)】
今回は『中山世鑑』を編纂した羽地朝秀についてお話しします。名前は聞いた事あるけど、どんな人かはわからないという方も多いと思いますので、この機会に少し勉強しておきましょう。
羽地朝秀
彼が王族である羽地家に生まれたのが1617年。いわゆる名門の王子様という身分の高い家柄です。
彼の7つ年上で、聖人按司と呼ばれ、名政治家として名を残す具志川王子・尚享(しょうきょう)という人物がいます。彼はまだ幼かった羽地朝秀を見た時、「将来、沖縄を背負って立つ人物になる」とその非凡さを見抜いていたと伝わります。
尚享は摂政(せっしょう)という今の総理大臣にあたる役職に就きますが、自ら羽地朝秀を推薦して、次の摂政に任命するほどでした。
学問が好きで寺に通って儒教を学ぶなどした朝秀は、薩摩に留学するなどして多様な学問を修めていきます。17歳で羽地間切の按司地頭になりますが、「人民の心を知らねば、上に立つ資格はない」として、各地の視察だけでなく王族なのに農民の生活も体験します。
間切(まぎり)は当時の集落単位で、按司は地域を納める権力者の事です。
1650年、当時の琉球国王尚質王(第2尚氏代10代国王)の命令により、沖縄の歴史書の編纂に着手。古い文献や記録を集め、地域の伝承を調査するなどしてまとめたのが、全5巻からなる『中山世鑑』です。
朝秀は『中山世鑑』の中で、琉球国王は源氏の血をひく源為朝(みなもとのためとも)の子孫であると記述しています。源為朝と言えば、本ブログでも取り上げています。
⇒【源為朝①】
マルキヨ製菓のある「牧港」の名前は、彼にまつわる伝説が残されていますよ。
1666年になると先に述べた尚享の後を継いで、琉球国の政治家としては最高の地位に当たる摂政となります。当時の琉球は薩摩の管理下に置かれており、「掟十五条」という厳しいルールが定められ多くの自由が奪われていました。
民衆はそれに反発して国は乱れ、疲弊し、生産力も落ちていました。「このままでは国が亡びてしまう」と感じた朝秀は数々の改革を断行。
王家はもちろん、庶民に到るまで贅沢を禁止し、無駄な風習も取りやめました。これにより無駄な財政支出を抑える事になります。
農民の負担を軽くして、開墾を奨励。開墾した畑は本人のものになるとしたため、農民のモチベーションもアップします。
大きな権力を持っていた聞得大君(きこえおおきみ)等の女神官達の格を下げ、行政に影響を与えるような大規模な儀式を廃止しました。
これに反発するものも少なくはありませんでしたが、「税金を有効に使い、人民のために政治を行い、信頼を得る」という強い信念を持って改革を推し進めていきます。
朝秀はそれら改革案をまとめた「羽地仕置」という著書を残し、後の政治家の手本とされました。改革のおかげで国の財政も立て直す事ができ、やがて訪れる琉球国の第2黄金期の下地を築いたと言われています。
台風14号
記事が長くならないよう、羽地朝秀については短めにまとめました。後に「琉球の五偉人」とも称される彼の業績はとても注目されています。そして『中山世鑑』が近々、正式に国の重要文化財に認定されるという事で、それも楽しみですね。
10月のこの時期でも台風が発生するようで、今日の午前9時に発生した台風14号は沖縄・九州方面に向かっているそうです。週末に向けて、台風情報も気になるところです。
まだまだ暑い沖縄。熱中症や台風を気にしながら過ごす事になりそうです。週の頭の月曜日、体調管理をしっかりしながら頑張っていきましょう!
今回はこの辺で。
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