尚家によるシーミー(後編)
2019年04月22日
こんにちは、マルキヨ製菓広報担当の仲宗根です。土日は雨の予報も出ていたのですが、何とか持ちこたえた所も多く、シーミーを行えた家庭も多かったのではないでしょうか。
今日は朝からとってもいい天気ですが、昼過ぎからは曇り、夜は雨の予報も出ています。今週末からゴールデンウィーク10連休に突入するので、期間中は晴れて欲しいものです。
さて、4月は沖縄にとってシーミーの期間という事で、ここ最近はシーミーのお話をしています。前回は【尚家によるシーミー(前編)】のお話をしました。
第二尚氏の始祖・金丸の子孫にあたる「四殿内(ゆとぅぬち)」と呼ばれる四家が、伊是名(いぜな)玉陵(たまうどぅん)で公事清明祭(クージシーミー)を行っていたという内容です。
首里にある玉陵は国王や王族の眠る場所ですが、伊是名の玉陵は主に金丸(尚円王)の親族が眠っている墓所になります。尚衛(しょうまもる)さんの父親であり、第二尚氏第22代当主である尚裕(しょうひろし・1997年没)さんも納骨されています。
また、琉球国最後の国王である尚泰王(しょうたいおう)のひ孫で、歌人としても知られる井伊文子(いいふみこ・2004年没)さんも分骨されています。
ちなみに彼女の夫は、桜田門外の変で暗殺された大老・井伊直弼のひ孫にあたる井伊直愛(いいなおよし)という人物です。
公事清明祭で使われていた道具は、四殿内の1つである銘苅(めかる)家に残っており、その一部は現在、「伊是名村ふれあい民俗館」に展示されています。
公事清明祭はシーミー入りした当日に行われ、「伊平屋嶋玉陵公事帳」を参照しながら、四殿内を中心に厳かに進行していきます。
尚衛さんは、首里玉陵でのシーミーを復活させるため、2019年現在も那覇市長を務める城間幹子さん(伊是名村出身)に玉陵の使用許可を申請する等、シーミーを復活させるための協力要請を行い、2018年にそれが叶う事になりました。
2018年、伊是名玉陵で公事清明祭が行われた3日後に、首里玉陵でのシーミーが行われる事になりましたが、その際、伊是名村の全面協力のもと、公事清明祭で使われた祭事用具も使用されていました。
琉球国の正史として編纂された「球陽」のよれば、玉陵でシーミーを行った翌日には「浦添ようどれ」という場所でもシーミーを行うと記されています。
「浦添ようどれ」は、こちらも琉球王国の陵墓となっており、ここには第二尚氏第七代国王の尚寧(しょうねい)王が眠っています。何故、尚寧王は首里玉陵ではなく、浦添ようどれに葬られているのでしょうか?
第6代国王である尚永(しょうえい)王に跡継ぎが出来なかったため、分家から迎えられたのが尚寧王です。しかし、尚寧王在位中の1609年、いわゆる薩摩侵攻を受けてしまい、彼は薩摩へ連行されてしまいました。
当時は徳川第2代将軍・秀忠の時代ですが、徳川家康も大御所としてその権力をふるっていました。尚寧王は、今の静岡にあたる駿府で徳川家康に、江戸では秀忠に謁見しています。
さらに「薩摩の起請文(きしょうもん)」に署名させられ、当時薩摩を治めていた島津氏に忠誠を誓う事になりました。琉球へ戻ったのは、その2年後です。
そういう経緯もあり、1620年に亡くなった尚寧王は歴代国王が葬られている首里玉陵ではなく、一族が眠る浦添ようどれに葬られる事になりました。
20l8年4月6日。尚衛さんは、息子の尚猛(しょうたける)さんと共に、首里玉陵へ訪れました。伊是名の公事清明祭で使用された貴重な道具を使用し、古文書を元に当時のシーミーを再現。
そして午前10時、40数年ぶりに首里玉陵でシーミーが行われました。神聖で厳かな儀式が行われ、その後は球陽に書かれているとおり「浦添ようどれ」まで足を運び、尚衛さんを筆頭に、こちらでも先祖達への供養をしました。
この一連の儀式の中で、過去の呪縛から解放すべく2つの「儀」を執り行いました。1つは「第一尚氏との和解の儀」です。第二尚氏は、クーデターにより第一尚氏の後に王家を継いできました。
第一尚氏と第二尚氏の間にある、目には見えない確執を取り除くというわけです。
そしてもう1つが、尚寧王の時代から続いてきた島津家への従属を誓う「起請文の破棄」です。すでに形骸化されていたとはいえ、改めて破棄を宣言する儀式を行う事で、過去の呪縛を解放し、未来志向で進んで行こうというわけです。
今年も尚家による首里玉陵や浦添ようどれでのシーミーが行われていました。特に、首里玉陵でのそれは、尚衛さんの息子にあたる尚猛さんが祭主を努めたそうです。
沖縄にはシーミーを始め、ジュウルクニチーや旧盆など、ご先祖様に手を合わせる行事がたくさんあります。
今、沖縄では「残したい沖縄」プロジェクトというものが進んでいて、TwitterやTV等で「あなたが残したい沖縄」について呼びかけています。
私は「旧暦で行う沖縄の行事」を推薦しましたよ。お菓子業者としては、大変ではありますが、やはりご先祖様や神様に感謝する気持ちを大切にする沖縄の心が、これらの行事に反映されていると思います。
その気持ちや心は「ゆいまーる」となり、人としても沖縄全体としても、よりよい未来に向かって成長できるものだと信じています。
そして、それら沖縄の行事を支えるため、今日もマルキヨ製菓はお供え用お菓子を作り続けるのです。
今回はこの辺で。
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