鬼は神
2019年01月10日
こんにちは、マルキヨ製菓広報担当の仲宗根です。今日は曇り空が広がっていますが、朝から大忙しです。今から3日後にムーチーという大きな行事がやってくるという事で、いつもより早く出勤して作業に取り組むスタッフもいます。
前回ブログでは、ムーチーにまつわる伝説をお話ししました。
⇒【 2019年のムーチーは、1月13日(日) 】
鬼になってしまった兄を退治するため、妹が用意したのが鉄入り餅。「鬼退治をする餅」という事で「鬼餅」と書いてムーチーと読みます。この伝説の舞台となっていたのは今から800年前の沖縄です。
12月8日に鬼退治されたということで、旧暦の12月8日(2019年の新暦で1月13日)にムーチーを食べるわけです。
実はこの「12月8日」は、鬼退治した日だけでなく、別の意味で重要な日でもあります。今回はそのお話しをしたいと思います。
この行事に関しては毎年お話ししていますので、過去ブログを加筆・修正してお送りいたします。
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西暦1735年、名君として名高い時の王・尚敬(しょうけい)王の時代、「この年から、十二月庚午(かのえうま)の鬼餅を八日に改定す」という記述が残っているそうです。
前回紹介した伝説(800年前)では、鬼を退治したのが12月8日という事でしたが、伝説から数百年後に「八日に改定す」の記述がある事から、鬼退治をした日は別の日(もしくは不明)であり、改定の後、伝説の方が書き換えられて「12月8日に鬼退治した」となった可能性があります。
この「旧暦12月8日」ですが、実は「事納め(事八日・ことようか)」と言われる特別な日なのです。それについて少しくわしくお話しをしましょう。
「年神様(としがみさま)」という、年を司(つかさど)り、正月に人間界に降りてくる神様がいます。その神様が正月に向け「年越し」や「元旦」に向け準備を始めるのが旧暦の12月8日と言われ、その日は「神様にとっての事始め」になります。
そして神様が色々な「神事」を行い、全てを終えるのが旧暦の2月8日。その日は「神様にとっての事納め」になります。
同時にこの旧暦2月8日は、神様を迎える正月行事を終えた人々が、通常の生活を始めるという事で「人にとっての事始め」の日でもあります。そしてまた旧暦12月8日には神様を迎えるため、日常生活をいったん終えるという事で「人にとっての事納め」が旧暦の12月8日にあたるわけなんですね。
神様が神様として活動する期間、そして人が日常生活と神様を迎え入れる期間が区別されていて、「神様にとっての事始め」が「人にとっての事納め」、「神様にとっての事納め」が「人にとっての事始め」となるわけです。面白いですね。
という事で、ウチナーンチュがムーチーを食べる旧暦12月8日は「神様が活動を始める日」でもあるのです。
そしてもう1つ。ムーチーは「鬼退治するための餅」でしたが、「鬼」と「神」の関係をご存じでしょうか?
日本に現存する文献で確認できる最も古い「鬼」は、「出雲国風土記(いずものくにふどき)」に登場する「阿用郷の鬼(あよのさとのおに)」だと言われています。
この鬼は旧暦の12月8日にやってくるという伝承があり、人間達は魔よけのため、竹竿の先に目籠(めかご)とヒイラギの枝をつけて軒先に飾る習慣があったそうです。
「12月8日は神様の事始めの日なのに、その日に鬼がやってくる?」と思った方もいるでしょう。
実は「鬼」というのは、元来「荒ぶった神様」の事を言うのです。旧暦12月8日は神様にとっての事始めで、人間界に神が降りてくるわけですが、本来は「神様が降りてくるので、我々人間は慎んで家の中で過ごしましょう」という日でした。
しかし、いつしかその意味がすりかわり「悪いものがやってくるので、家でじっとしている」という形で伝わります。
「神がやってくる」が「荒ぶる神がやってくる」となり、「荒ぶる神は鬼」となり、さらに仏教の地獄に出てくる「鬼」と結びついて、いつしか元々の「神」とは違う完全に悪しきもの「鬼」としての地位が確立してしまったのです。
沖縄・宮古島の「パーントゥ」や秋田県の「なまはげ」が昨年、ユネスコの無形文化遺産に登録されたニュースは記憶に新しいと思います。人々に泥を塗りたくって練り歩く「パーントゥ」や悪い子を脅す「なまはげ」も立派な神様なのです。
ちなみに旧暦の12月8日は、中国でも邪気を払う日とされているそうです。そらも結びついて、沖縄の「ムーチー」という風習が確立したのでしょう。旧暦の12月8日は「子供の成長を祈り、邪気を払うため、ムーチー(鬼餅)を食べる」という形で。
ちなみにムーチーは本来、子供の年の数だけヒモでくくって、すだれ状に吊しておくものです。最近ではそれを見る機会は減りましたが、まだやっている所はあります。
沖縄には昔から「クバの葉を十字に結んで、軒先に吊るし邪気を払う」風習があり、それが「ムーチーを吊す」に結びついたと言われています。
さきほど述べた「阿用郷の鬼(あよのさとのおに)」について、「魔よけのため、竹竿の先に目籠(めかご)とヒイラギの枝をつけて軒先に飾る習慣があった」とも繋がっていそうですね。
ムーチーについて調べれば調べるほど、前回紹介した伝説だけが全てではないというのがわかります。「神がやってくる日」「鬼」「邪気払いの風習」など、日本だけでなく中国からの思想も伝わってきており、非常に興味深いですね。
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2019年バージョンのムーチーは1月12日(土)と13日(日)の期間限定販売となります。
ムーチーは賞味期限が短いため、各店舗に入れるのもギリギリとなります。今現在も、マルキヨ製菓スタッフ一同、何万個ものムーチーをカーサに包む作業を頑張っているところです。
実はついさっき、工場にあった「紅芋ムーチー」を持ってきました。今回は先行でこの「紅芋ムーチー」だけを紹介します。残りは2日後に紹介しますよ。
というわけで、2019年バージョンの「紅芋ムーチー」です!
開封直後の独特のいい香り。「ムーチーだ!」とわかる、懐かしさを感じる香りです。
お皿にのせて
カーサを開いてみましょう。
この時、私の脳内ではリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れています。笑
というわけで、紅芋ムーチーの登場です。鮮やかな紫色が食欲をそそります! では、頂きます。食べた瞬間「美味しい!」。間違いない味です。
紅芋ペーストも練り込まれているので、紅芋の清涼感のある甘さも心地良く味わえますよ。
各店舗には1月12日(土)からお目見えする予定ですので、お楽しみに。
そして! 次回のブログはその1月12日土曜日に更新します。紅芋以外のムーチーを行事「ムーチー」の前日に一気に紹介しますので、是非、ブログをチェックしてマルキヨ製菓のムーチーを召し上がって頂けたらと思います。
マルキヨ製菓にとっては「三大超忙し行事」の1つである「ムーチー」。今年は日曜日にあたっているため、日曜出勤で頑張りますよ。
受験生は来週、センター試験も待っていますね。勉強の合間に一息つき、ムーチーを食べて餅のように「粘り」強く頑張ってみてはいかがでしょう?
今回はこの辺で。
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