ヒヌカンを丁重に送り出す
2025年01月14日
こんにちは、マルキヨ製菓広報担当の仲宗根です。新年になって2週間が過ぎようとしています。気がつけば1月も中旬、時の流れの速さを感じます。
最近は寒い日が続いており、最高気温15度という日もありました。今日は最低気温12度ではあるものの、最高気温は21度となっており、日中は割と暖かい火曜日となっています。
今日は新暦で1月14日ですが、旧暦の世界では12月15日。ちょうど2週間後は旧暦12月29日ですが、この日は大晦日となっています。年末年始が忙しいのは新暦も旧暦も同じですね。
今回のブログでは、旧暦12月24日にやってくる行事「ウガンブトゥチ」についてお話ししましょう。
火の神様
沖縄に昔からある「ヒヌカン信仰」。「ヒヌカン」とは「火之神」、すなわち火の神様の事です。家の中の火を扱うところに鎮座していると言われており、その家を見守る神様です。昔なら竈(かまど)、現代ならコンロの近くにヒヌカンはいると言われています。
昨今はIHの家庭も多く、直接火を見る事のない家庭もあるでしょう。ヒヌカンは各家庭を見守っていますので、火と似た役割を持つIHの近くにいる事でしょう。
古来より人類は、燃えさかる火に畏怖や神秘性を感じていました。世界中で「火」に「神」を見いだすのは自然の流れだったと言えるでしょう。世界最古の宗教の1つ「ゾロアスター教」は「拝火教」とも呼ばれ、読んで字のごとく火を神格化し、崇拝する宗教です。
ギリシャ神話に登場する「プロメテウス」という神は、人類に火をもたらしたと言われています。日本においては、古事記や日本書紀に登場する「迦具土神(かぐつちのかみ)」が火の神様になります。
日本各地においても古来より火を神格化しており、「荒神(こうじん)」と呼ばれたり「土公神(どくじん)」と呼ばれたりしています。沖縄では「ヒヌカン」と呼ばれるのは周知の通りです。
沖縄における「ヒヌカン信仰」について、旧暦の1日と15日に手を合わせる独特の風習があります。その日はヒヌカンにお供え物をしたり、チャーギと呼ばれる植物を添えたりし、手を合わせます。
昔から沖縄で続けられる風習ですが、家の中で手を合わせる場所といえばもう1つ「仏壇」がありますよね。ご先祖様の位牌が置かれ、手を合わせてウートートー。誰しも経験があることでしょう。
実はヒヌカンに手を合わせる風習の方が、仏壇でご先祖様に手を合わせるよりも歴史的に長いのです。沖縄に仏壇が入ってくるのが17世紀ごろなのに対し、ヒヌカンに手を合わせる風習はそれ以前から沖縄にありました。
次に紹介する「ウガンブトゥチ」は、沖縄における「ヒヌカン信仰」と、中国における「竈神信仰」が融合して生まれた行事と言われています。
中国では火を焚く場所である竈(かまど)に「竈神(かまどがみ)」が鎮座し、その家庭を見守っているとされました。竈神は全宇宙を支配する天帝に仕えており、定期的にその家庭の事を天帝に報告します。
ちなみに天帝とは「玉皇大帝(ぎょっこうたいてい)」の事であり、中国発祥の道教における最高神になります。全宇宙の支配者であり、天界・地上・地底にまでその支配力は及びます。
さらには各家庭の財政や禍福(かふく=不幸と幸福)でさえも、天帝にコントロールされているのです。余談ですが、天帝の娘がかの有名な「織姫」です。
ウガンブトゥチ
「ウガンブトゥチ」は旧暦12月24日に行われる行事です。「御願解き」と表し、文字通り「ウガミ(御願)を解く」行事になります。
旧暦12月24日はヒヌカンが天へ帰る日なので、その日は家の中を掃除し、ヒヌカンへのお供え物を新しくして、「この1年間、ありがとうございました」と、家を見守ってくれたヒヌカンに感謝して手を合わせます。
こうしてその年のウガミ(御願)を解きますが、その際、ヒラウコーという平たい形の線香を焚きます。この煙と共にヒヌカンは天へ昇っていきます。
このようにしてヒヌカンを天へ送り出す。それが「ウガンブトゥチ(御願解き)」という行事なのです。ちなみにこの行事は「ヒヌカンウークイ」とも言われますよ。
「ウガンブトゥチ」から約10日後にあたる旧暦1月4日になると、ヒヌカンは天から降りてきて各家庭の火のある場所へ鎮座し、再びその家庭を1年間見守ることになります。
旧暦12月24日の「ウガンブトゥチ」はヒヌカンを天へ送り出す行事なのに対し、旧暦1月4日は再びヒヌカンを家庭へ迎え入れる「ヒヌカンウンケー」という行事の日になります。
「ヒヌカンウンケー」の日も家を掃除し、ヒヌカンへのお供え物を新しくして迎え入れます。家庭へ戻ってきたヒヌカンは、次の旧暦12月24日まで家を見守り続けるというわけです。
女性が行う行事
旧暦1日や15日だったり、「ウガンブトゥチ」や「ヒヌカンウンケー」だったり。一般にそれらヒヌカン関連の行事を行うのは女性です。
「台所は女性が守るもの」という昔の考えがあり(今はその限りではありませんが)、基本的にヒヌカンに手を合わせる行事に、男性は参加する事はありません。
ヒヌカン信仰が生まれ、数百年の歳月を経て今は令和の時代。「男女関係なく」という意見もありますが、沖縄では昔から祭祀を行うのは神に通じる力を持つと言われた女性という背景もあります。そういうわけで、ヒヌカン関連の行事も一般には女性が行う事になっています。
なので、多くの男性陣は「ヒヌカン」についてや、「ヒヌカン」の関係する行事については、あまりくわしくないでしょう。この機会にそれらについて学び、ヒヌカン関連の行事の準備を手伝うなど、男性陣も行事のサポート役に徹してみてはどうでしょうか。
ヒヌカンへのお供え
ヒヌカンにお供えする代表的なお菓子が
「ウチャヌク」です。来週やってくる「ウガンブトゥチ」に向け、マルキヨ製菓は4種類の「ウチャヌク」を準備中です。来週のブログは「ウチャヌク」も紹介する予定なので、お楽しみに。
「ウガンブトゥチ」の1週間後は「旧正月」。旧暦の正月に向け
「ナントゥ餅」などの準備もしていく事になります。とにもかくにも旧暦の世界は師走まっただなか。教師も走り出す年末の忙しさを乗り切るため、今日も誠実に仕事を頑張ります。
今回はこの辺で。
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