シバサシとマジムン
2024年09月3日
こんにちは、マルキヨ製菓広報担当の仲宗根です。9月に入って最初のブログ更新となります。「9月に入り、少し涼しくなった…」と言ってみたいですが、9月に入っても日中は連日33度の気温を記録。
まだまだクーラーのきく部屋に引きこもっていたい毎日です。こまめに水分補給をし、熱中症対策を意識するという生活は9月も継続していきます。
さて、9月は行事がまたいくつかやってきます。先月の旧盆からだいぶ経ったような気がしますが、今月もまた行事に追われる1ヶ月となります。
屋敷御願(ヤシチウグヮン)
今月最初にやってくる行事は来週の「シバサシ」です。その行事に向けて
「ウチャヌク」という商品を用意する事になります。ただ、今日9月3日は旧暦8月1日であり、ヒヌカンに手を合わせる日でもあります。ヒヌカンにお供えするお菓子も「ウチャヌク」であるため、すでに県内各スーパーにて販売中です。
今日から始まる旧暦8月は屋敷御願(ヤシチウグヮン)の月となります。旧暦2月、8月、12月に行われる屋敷御願では、家の至るところやヒヌカンに手を合わせて家内安全や家族の健康を祈願します。
特にマジムンが出ると言われる旧暦8月の屋敷御願は「邪気払いの御願」として、3回の屋敷御願の中で最も重要とされています。来週やってくる行事「シバサシ」も屋敷御願の一環となる行事です。
そして、この行事に関してはある言い伝えがありますので、そちらを紹介しましょう。
シバサシに関する言い伝え
むかしむかし、沖縄本島南部・南風原(はえばる)の兼城(かねぐすく)という地域に、安平田(あひだ)という名前のお百姓さんがいました。ある日、彼が農作業を終え帰宅していると、ものすごいどしゃぶりに遭遇しました。
そこで帰り道の途中にある岩穴に入り、雨がやむのをしばらく待つことにしました。ふと、自分の背後、いわゆる岩穴の方から髪の毛を引っ張られました。振り返ると、奥にあった墓石の隙間から白い手が伸び、髪の毛を引っ張っているではありませんか。
安平田はあまりの恐怖に、声も出せずにその場で固まってしまいました。すると
「驚かしてごめんなさい」
という若い女性の声が墓石から聞こえてきたのです。さらに驚いた安平田は、急いでその場から逃げようとします。
「待ってください。私は幽霊やマジムンではありません」
逃げようとする彼に、声はそう語りかけました。
「私は兼城(かねぐすく)按司(あじ)の娘。病気で床に伏せていたところ、死んだと勘違いされてしまい、お墓に葬られてしまいました。どうか助けて下さい」
地域を治める権力者を按司(あじ)と言います。つまり、声の主は周辺地域の権力者の娘であり、勘違いで葬られたと言うのです。安平田はその声に耳を傾けると、髪の毛をひっぱている手から温かさを感じました。深呼吸をして、落ち着きを取り戻すと
「すぐに人を呼んできます。もうしばらくだけ、待っていてください」
と優しく声をかけました。そしてどしゃぶりの中、兼城按司のお屋敷へと走っていきます。事情を話し、按司と面会した安平田はこれまでの事を説明。話を聞いた按司はすぐに岩穴のお墓へ行き、墓石をどかしました。
するとそこには、死んだと思っていた娘が弱々しく呼吸をしていたのです。按司は娘をやさしく抱きしめると「シバ」を作り、お墓の周りにそれをさしてお祓いしました。
「シバ」とは、ススキと桑の枝を束ねたもので、魔除け・厄除けの効能があると言われる、いわば沖縄の魔除けアイテムです。
屋敷に戻った按司は、娘の無事を盛大に祝いました。小豆入りの強飯(カシチー)を炊いて娘の健康を祈願すると、今後このような事がないように魔除けの「シバ」を屋敷の四隅や門にさし、マジムンが入ってこないようにしました。
百姓の安平田は助けた按司の娘と結婚する事になりました。身分の低い百姓が、権力者の婿養子として迎えられたという事で、いわば逆玉の輿に乗ったのです。
旧暦8月は不穏な月
旧暦7月中旬にご先祖様がこちらの世界に降り、再びグソーへ戻っていきます。それからしばらくした旧暦8月の沖縄は、どうも悪い事がよく起こる月のようで、その証拠に「シバサシ」など厄払いの行事がいくつか集中しています。
手前で紹介した言い伝えの中に「マジムン」という単語が登場します。「マジムン」とは、沖縄の妖怪や悪霊をさす言葉です。いわゆる災いをもたらすものという事から転じて、「何か悪いもの」をさしたりもします。
例えばお弁当がいたんでいると、具体的に妖怪の姿が見えなくても「マジムンのせい」と言ったりします。ちなみに「動物の姿をしたマジムン」には要注意で、その動物に股をくぐられた人間は死んでしまうと伝えられています。
牛や豚の姿をしたマジムンなどがおり、それらに股をくぐられると命を落とすことになるのです。また、赤ん坊のマジムン「アカングワァーマジムン」は、四つん這いでハイハイしながら人間の股をくぐろうとします。
こちらも、股をくぐられた人間は死んでしまうそうなので、見かけたらすぐにその場を立ち去りましょう。
言い伝えの中で、安平田が按司の娘を助けたとされる日が旧暦の8月10日です。この伝説を元に、8月10日を中日(なかび)とする前後3日間、ススキと桑で作った魔除けのアイテム「シバ」を家の周りにさす風習が生まれました。
それが行事となり、「シバ」をさす事から「シバサシ」と呼ばれています。この魔除けアイテム「シバ」を家の周りさすことにより、マジムンが家の中に入ってこないようにするわけです。
ひと昔前はあまり行われていなかった行事ですが、最近はスーパーでもシバサシコーナーが出来るなど、この行事を行っている家庭は増えています。この行事に向け、マルキヨ製菓は
「ウチャヌク各種」を売り出しますので、近いうちにこれらの商品も紹介したいと思います。
気がつけばオリンピックも終わり、旧盆も終わり、9月に入っていました。今年も残り4ヶ月を切りましたね。目の前の行事1つ1つに集中し、今年も来年も再来年も、沖縄の行事を支え続ける存在でありたいマルキヨ製菓です。
そんなマルキヨ製菓のお菓子たちを今後ともよろしくお願いします。
今回はこの辺で。
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