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ウガンブトゥチ

2023年01月6日

こんにちは、マルキヨ製菓広報担当の仲宗根です。正月も終わり、仕事もスタートした人も多いでしょう。今日から学校のところも多いようで、学生さんも含め2023年の日常がスタートしたといった感じでしょうか。

 

今日は最高気温21度ですが、曇り空のため少し肌寒さが残ります。ただ、週間予報では来週は24度の日もあるようで、これからだんだんと温かくなっていくことでしょう。

 

さて、旧暦の世界で今日は12月15日であり、まさに年末なのです。そうなると年末年始の行事が立て続けにやってくるため、マルキヨ製菓はすでに忙しい状態に突入しています。

 

まずは旧暦12月24日にやってくる「ウガンブトゥチ」という行事。これがなかなか大きな行事で、その行事用お菓子の注文がたくさん入っています。今回のブログでは、その行事についてお話ししましょう。

 

ヒヌカン

沖縄ではヒヌカン信仰という、決まった日にヒヌカンに手を合わせる独特の風習があります。ヒヌカンは火の神様の事であり、それぞれの家を見守っています。火のある所にいるため、昔ならカマド、現代だと台所でヒヌカンを祀っている所が多いでしょう。

 

旧暦における各月の1日と15日は、「ヒヌカン(火之神)」にお供え物をして、手を合わせる。昔から沖縄で見られる光景です。家の中で手を合わせる場所といえばもう1つ、ご先祖様の位牌がある仏壇があります。

 

実は仏壇でご先祖様に手を合わせるよりも、ヒヌカンに手を合わせる事の方が歴史的に長いんですよ。沖縄に仏壇が入ってくるのが17世紀ごろですが、ヒヌカンに手を合わせる風習はそれ以前から沖縄にあると言われています。

 

ヒヌカン信仰は沖縄固有のものですが、その由来は諸説あり、特に中国の道教と深く結びついていると言われています。

 

地域や家庭によって違いはありますが、一般にヒヌカン関連の行事を行うのは女性になります。昔は「台所は女性が守るもの」という考えだったため(今はその限りではありませんが)、基本的に男性はNGなのです。

 

今や令和の時代。「男女関係なく」となりそうですが、沖縄では昔から祭祀を行うのは神に通じる力を持つと言われた女性でした。そういう事もあり、ヒヌカン関連の行事も一般には女性が行う事になっています。

 

ヒヌカンのいる場所、いわゆる台所にお供えをしたり手を合わせる場所を設けます。そこにチャーギと呼ばれる植物の葉やお酒等を定期的にお供えし、手を合わせる。これが一般的なヒヌカン信仰の形となります。

 

天帝

「ヒヌカン」は旧暦1月4日に天から地上へと降りてきます。各家庭の台所のある所へ鎮座し、その家を約1年間見守り続けます。旧暦12月24日になるとその役目を終え、天へ戻ります。

 

天に戻ると、上司にあたる天帝様にその家で起こった1年間の様子を報告します。そして年が明け、旧暦1月4日になると再びヒヌカンは地上へ降り、各家庭に入って家を見守ります。それがヒヌカンの業務というわけです。

 

天帝とは、中国の道教における最高神「玉皇大帝(ぎょっこうたいてい)」の事です。したがって「ウガンブトゥチ」という行事は、中国の風習とも結びついているのです。

 

この玉皇大帝は全宇宙の支配者であり、天界だけでなく地上に住む我々や地底に住むあらゆるものにまで、その力が及びます。各家庭の財政や禍福(かふく=不幸と幸福)をもたらすだけでなく、地上のありとあらゆるものを支配しているのです。

 

沖縄ではヒヌカンに手を合わせている方は多いと思いますが、実はヒヌカンには上司がいて、その上司がこの世の全てを支配しているという事まで知っている人は少ないでしょう。

 

ウガンブトゥチ

「ウガンブトゥチ」はどんな事をするのでしょうか? 旧暦12月24日はヒヌカンが天に帰る日です。家の中を掃除し、ヒヌカンへのお供え物を新しくし、「この1年間、ありがとうございました」と、家を見守ってくれたヒヌカンに感謝して手を合わせます。

 

これをもって、その年のウガミ(御願)を解く。それが「ウガンブトゥチ(御願解き)」という行事になります。

 

ウガミ(御願)を解く際、ヒラウコーという平らな形の線香を焚きます。この煙と共にヒヌカンは天へ昇っていきます。ちなみに旧盆最終日の「ウークイ」も、ヒラウコーを焚きます。ウヤファーフジ(ご先祖様)はその煙にのってグソーへ旅立ちますよ。

 

「ウガンブトゥチ」から10日後にあたる旧暦1月4日になると、ヒヌカンは天から降りてきて各家庭の台所のある場所へ鎮座し、再びその家庭を1年間見守ります。

 

なので、この日は丁重にヒヌカンをお迎えする「ヒヌカンウンケー(火之神迎え)」という行事の日になります。「ウガンブトゥチ」と「ヒヌカンウンケー」は、対(つい)になっている行事なのです。

 

ここで、「ウガンブトゥチ」における注意点を1つお話ししましょう。旧暦12月24日に天へ戻るヒヌカンですが、彼は上司である天帝に見守ってきた家庭の事を報告します。その際、必ずしもその家庭にとって「いい事」ばかり報告するわけではありません。

 

「悪い事」も報告してしまうのです。天帝は全宇宙を支配し、各家庭には禍福(いい事・悪い事)をもたらすと言われている存在です。ヒヌカンから悪い報告を受けると、「あの家庭には災いをもたらしてやろう」と思い実行する可能性も否定できません。

 

そんな事態を避けるためのアイテムが存在します。それは、ご飯を円すいの形に盛った「ウブク(御仏供)」です。ヒヌカンに手を合わせる際、これを置いている家庭も多いと思います。

 

実はこの「ウブク」、ヒヌカンが天帝に悪い事を報告させない役割も担っているのです。これを口にしたヒヌカンは、悪い事を報告しようとすると口がネバネバしてしゃべりづらくなるのです。

 

いい事は報告できるのに、悪い事は報告できないようになる不思議なアイテム、それが「ウブク」なのです。なので、普段から「ウブク」をお供えしている家庭は問題ないですが、普段はお供えしていない方は、「ウガンブトゥチ」の日だけはしっかりお供えしましょう。

 

人間、生きていれば「報告されたらまずい事」の1つや2つはあるでしょう。個人的に「ヒヌカンはいい事だけでなく悪い事も報告するので、普段から悪い事をしないようしっかりしなさい」という教訓だと思っています。

 

ちなみに中国でも同じ神を信仰する風習があり、そちらでは「ウブク」の代わりに「飴」をお供えするそうです。飴で口の中をネバネバさせ、悪い事を天帝に報告できないようにするためです。「悪い事は報告しないでね」と思う気持ちは、万国共通のようです。

 

かつて人々は火が燃える様子を見て畏怖の念を感じ、そこには神がいると信じてきました。「カマドは食事を作る所であり、日常生活に関係が深い」という事で、カマドの神様は天帝に使える神という位置づけなのです。

 

この中国のカマドの神信仰と、沖縄固有のヒヌカン(火の神)信仰が融合し、ウガンブトゥチ(御願解き)という行事が生まれたと考えられているそうです。

 

旧暦12月24日は、「ヒヌカンを天へ送り出す」。今やこの「ウガンブトゥチ(御願解き)」は沖縄の人にとって、非常に大切な行事の1つとなっています。

 

ウチャヌク

ヒヌカン関連の行事では、お供え用お菓子として

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「ウチャヌク」をお供えします。来週はこのお菓子も紹介する予定なのでお楽しみに。

 

2023年も忙しい幕開けとなったマルキヨ製菓。今年も沖縄の行事を支えるため、スタッフ一同頑張りますので、この1年間よろしくお願いします!

 

今回はこの辺で。

 

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