12月24日はウガンブトゥチ
2022年01月18日
こんにちは、マルキヨ製菓広報担当の仲宗根です。今朝の那覇、朝は14.6℃で曇り空でしたから、気温よりも肌寒く感じた人も多いでしょう。最高気温は17度と、沖縄としては寒い火曜日です。
ただ、明日以降は少しずつ気温が上がっていき、日曜日月曜日は予想最高気温23度となっています。冬の終わりは近いかもしれませんよ。
旧暦の世界で今日は12月16日であり、8日後は12月24日です。新暦だとクリスマスイブですが、旧暦だと「ウガンブトゥチ」と呼ばれる行事の日になります。
実はこの行事、年々拡大傾向にありまして、今や「マルキヨ製菓四大忙しい行事」の1つになりつつあります。先週終わったムーチーよりも忙しくなりそうな気配があるのです。
けっこう「ウガンブトゥチって何?」という方も多いのがこの行事。実は非常に大切な行事である「ウガンブトゥチ」について、今回はくわしく解説していきたいと思います!
「ウガンブトゥチ」はヒヌカン関連行事
沖縄では伝統的にヒヌカンに手を合わせる家庭がたくあんあります。ヒヌカンは家庭を守る神様の事で、火のある所にいます。昔だとカマド、今は台所でヒヌカンを祀っている所が多いでしょう。
旧暦の1日と15日は、家庭を見守っている「ヒヌカン(火之神)」にお供え物をして、手を合わせる。昔から沖縄で見られる光景です。手を合わせると言えば、仏壇にも手を合わせますよね。
沖縄に仏壇が入ってくるのが17世紀ごろ。ヒヌカンに手を合わせる風習は、それ以前から沖縄にありました。ヒヌカン信仰は沖縄固有のものですが、その由来は諸説あります。特に、中国の道教と深く結びついていると言われています。
地域や家庭によって違いはありますが、一般にヒヌカン関連の行事を行うのは女性になります。昔は「台所は女性が守るもの」という考えだったため(今はその限りではありませんが)、基本的に男性はNGです。
今の時代なら「男女関係なく」となりそうですが、沖縄では昔から祭祀を行うのは女性だった事もあり、ヒヌカン関連の行事も一般には女性が行う事になっています。
ヒヌカンのいる場所、いわゆる台所にお供えや手を合わせる場所を設け、そこにチャーギと呼ばれる植物の葉やお酒等を定期的にお供えし、手を合わせる。これが一般的なヒヌカン信仰の形となります。
ヒヌカンには上司がいる
「ヒヌカン」は旧暦1月4日に天から地上へと降りてきます。各家庭の台所のある所へ鎮座し、その家を約1年間見守り続けます。旧暦12月24日になると天へ戻り、上司にあたる天帝様にその家の1年間の様子を報告する。それがヒヌカンの業務になります。
天帝とは、中国の道教における最高神「玉皇大帝(ぎょっこうたいてい)」の事。「ウガンブトゥチ」という行事は、中国の風習とも結びついているのです。
玉皇大帝(ぎょっこうたいてい)は、全ての支配者であり、天界だけでなく地上に住む我々や地底に住むあらゆるものを支配しています。各家庭の財政や禍福(かふく=不幸と幸福)をもたらすだけでなく、地上のありとあらゆるものを支配します。
ヒヌカンに手を合わせている方は多いと思いますが、ヒヌカンには上司がいて、その上司がこの世の全てを支配しているという事を知らない人も多いでしょう。
「ウガンブトゥチ」=「拝みを解く」
ヒヌカンが天に帰る旧暦12月24日には家を清め、お供え物を新しくし、「この1年間、ありがとうございました」と、家を見守ってくれたヒヌカンに感謝して手を合わせる。これをもって、その年のウガミ(御願)を解く。それが「ウガンブトゥチ(御願解き)」という行事です。
ウガミ(御願)を解く際、ヒラウコーという平らな形の線香を焚きますが、この煙と共にヒヌカンは天へ昇っていきます。旧暦1月4日になると、ヒヌカンは天から降りてきて各家庭の台所あのある場所へ鎮座し、再びその家庭を1年間見守ります。
この旧暦の1月4日は「ウガンブトゥチ(御願解き)」と対(つい)になる「ヒヌカンウンケー(火之神迎え)」と呼ばれる行事の日になっていますよ。
ヒヌカンは悪い事も上司に報告する
旧暦12月24日に天へ戻ったヒヌカンは、上司である天帝に見守ってきた家庭の事を報告しますが、必ずしもその家庭にとって「いい事」ばかり報告するわけではありません。そう、「悪い事」も報告してしまうのです。
ヒヌカンの上司は全宇宙を支配する天帝様。さらに、各家庭に禍福(いい事・悪い事)をも、もたらすと言われている存在です。という事は、何か悪い事を報告されてしまうと、その家庭には災いがもたされる可能性もあります。
「ヒヌカンはいい事だけでなく悪い事も報告するので、しっかりしなさい」という教訓もあるでしょう。しかし、私だけでしょうか? 「報告されたらマズい事」もあると思っているのは。
そんな時に、とっておきのアイテムがあります。ヒヌカンに手を合わせる時、ご飯を円すいの形に盛った「ウブク(御仏供)」というものをお供えしますが、この「ウブク」の役割の1つが「悪い事は報告しないようにするため」なのです。
ウブクを口にしたヒヌカンは口の中がネバネバして、悪い事が告げられなくなると言われています。「いい事も告げられなくなるのでは?」と思った人もいるでしょうが、そこには触れないでおきましょう。
ちなみに中国にも同じ神を信仰する風習がありますが、そちらでは飴をお供えするそうです。やはり口の中を粘らせて、悪い事を告げ口しないようにという事らしいです。「悪い事は広めないでね」と思う気持ちは、万国共通のようです。
かつて人々は火が燃える様子を見て畏怖の念を感じ、そこには神がいると信じてきました。「カマドは食事を作る所であり、日常生活に関係が深い」という事で、カマドの神様は天帝に使える神という位置づけなのです。
この中国のカマドの神信仰と、沖縄固有のヒヌカン(火の神)信仰が融合し、ウガンブトゥチ(御願解き)という行事が生まれたと考えられているそうです。
旧暦12月24日は、「ヒヌカンを天へ送り出す」。今やこの「ウガンブトゥチ(御願解き)」は沖縄の人にとって、非常に大切な行事の1つとなっています。
ちなみに、この行事でお供えするお菓子の1つに
「ウチャヌク」があります。去年に続いてコロナ禍の中、このお菓子の注文だけは毎年右肩上がり。今年は過去最高数の「ウチャヌク」を製造します。マルキヨ製菓スタッフ一同、フル回転でこのお菓子を作っていますが、下手するとムーチーより忙しくなりそうです。
来週、「ウガンブトゥチ」直前にはこのお菓子をブログで紹介する予定なのでお楽しみに。
まだまだコロナと付き合っていかなければなりませんが、とにかく1人1人が出来る事をやって、つらい時期を乗り越えていきましょう。苦しい時、マルキヨ製菓の美味しいお菓子で笑顔になってくれば幸いです。
今回はこの辺で。
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